
Funkdoobiest / Dedicated
深夜の街を這う、スモーキー・メランコリックHipHop
深夜の街を這うスモーキー・グルーヴ、Muggs節炸裂のメランコリックHipHop
1995年という時代背景
1995年、Cypress Hillの影響力がアンダーグラウンドからメインストリームへと広がっていた時代。
この頃のUS HipHopシーンは、派手なフックや商業的な洗練へ向かう一方で、ストリートのリアリティをいかに保つかという葛藤も同時に抱えていた時期でもありました。
Soul Assassinsファミリーの美学
その流れの中で登場したFunkdoobiest / Dedicatedは、Soul Assassinsファミリー特有の重厚な世界観を凝縮した名曲っ!
派手なアピールやキャッチーさよりも、空気感と質感で聴かせるという姿勢が、この時点ですでにハッキリと刻み込まれています。
DJ Muggsが作り出すスモーキー感と深度
プロデュースはもちろんDJ Muggs…彼の手による独特の「煙たさ」と「深み」が全編を包み込むサウンドが展開されている。
低域に沈み込む質感、余白を活かした配置、そして一切の無駄を削ぎ落とした構築美は、この時期のMuggsが最も脂の乗っていた証とも言えるでしょう。
Roy Ayersを夜へ連れ込むサンプリング
イントロから響くのは、Roy Ayers Ubiquity / Everybody Loves The Sunshineの美しいフェンダー・ローズのリフ。
HipHop史において幾度となく引用されてきたこのフレーズを、Muggsはあえて甘さを削ぎ、夜の匂いをまとわせる方向へと導いています。
陽光を闇へ変える手腕
本来は穏やかで陽光のような楽曲だが、Muggsのサンプリングによってココではイッキに陰影を帯びたメランコリックなトーンへと変貌していますね。
この“明るい素材を暗く鳴らす”感覚こそが、Muggsサウンドの最大の魅力のひとつでしょう。
L.A.の夜霧を走るグルーヴ
タイトなドラムブレイクに重く沈み込むベース、そして淡々と流れるキーボードのコード進行…まるでL.A.の夜霧の中をゆっくりと走るクルマのようなグルーヴ感となっています。
スピード感ではなく、あくまで重さと粘度で聴かせるこのビートは、深夜帯でこそ真価を発揮します。
抑制されたフロウが生むリアル
Funkdoobiestのフロウは、ハデさを抑えたクールな語り口を紡ぎ出しています。
テクニックを誇示するのではなく、日常を淡々と語るような距離感が、このビートと完璧に噛み合っています。
仲間とストリートへの献辞
「Dedicated to my homies…」というリリックには、仲間やストリートへの想い、そして彼ら自身のリアリティが込められていますね。DJ Muggsの作り出す哀愁漂うトラックと、この抑制されたラップとの相性がバツグンにカッコよく、ハデではないが深く沁みる「スモーキーなHipHop」の真髄といえるサウンドを聴かせてくれます。
B面に宿るDJユースな魅力
DJ的な観点で言えば、B面の「Dedicated (J & B Mix)」もハズせない。
オリジナルよりも若干ドライなミックスで、ブレイクの抜けが良く、クラブプレイでも重宝されるRemixになっています。ミッドテンポながらも腰にくるビート感が絶妙で、Muggsサウンドの持つ粘着質な低域がジワジワと効いてくる。
’95年N.Y.〜L.A.をつなぐ空気
当時、DJ PremierやFunkmaster Flexなどもこのタイプの「メランコリック・ビート」を積極的にプレイしており、’95年のN.Y.〜L.A.間をつなぐ空気感がこのレコードには息づいています。
日常を語っていたHipHopの時代
全体を通してカンジるのは、当時のHipHopがまだ「日常の物語」を語っていた時代の空気感…。
ビートと声だけで聴かせる美学
華やかなフックではなく、ビートと声だけで淡々と聴かせるスタイル。
地味さの中に漂う本物の煙
Funkdoobiestはセールス的に成功を収めるタイプではなかったが、その地味さの中にこそ「本物の煙」が漂う…Muggsのサウンドに惹かれるリスナーなら、このDedicatedは間違いなく最高の1枚でしょうね。
12インチで完成する真夜中のL.A.
12インチで聴くと、その低音の音圧とエレピの残響がより立体的に広がり針を落とした瞬間、真夜中のL.A.の空気が部屋を満たす──そんな1枚です。
1995リリース









